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Google Calendar × MCPでスケジュール管理を自動化する方法【エンタープライズ実装ガイド】

Google CalendarとMCP(Model Context Protocol)を連携し、会議準備・商談設定・プロジェクト同期を自動化する方法を解説。OAuth認証設計からエンタープライズ運用まで網羅。

読了 8分|峻 福地

エンタープライズにおけるスケジュール管理は、単なる予定の記録ではない。会議の準備、商談の調整、プロジェクトマイルストーンの可視化——これらが分断されていることが、組織の意思決定スピードを確実に落としている。MCP(Model Context Protocol)は、AIエージェントが外部ツールやデータソースと安全に接続するためのオープンプロトコルであり、2026年現在、主要なAIプラットフォーム(ChatGPT、Claude、Gemini、GitHub Copilot)が標準採用している。homulaのAgensは、MCPを活用したエンタープライズ向け統合プラットフォームとして、200以上のツールとの接続を構築ゼロで実現する。

本記事では、Google CalendarをMCP経由でAIエージェントに接続し、スケジュール管理の自動化をエンタープライズ環境で実装する方法を解説する。

Google Calendar × MCPで実現できる3つのユースケース

Google Calendar MCPサーバーを導入することで、AIエージェントはカレンダーデータの読み取り・書き込み・空き時間検索を自然言語で実行できるようになる。以下は、エンタープライズ環境で特にROIが高い3つのユースケースである。

ユースケース1:会議準備の自動化

カレンダーに登録された会議予定をトリガーに、AIエージェントが関連資料の収集・アジェンダの生成・参加者への事前共有までを自動実行する。

具体的な処理フローは次のとおりである。カレンダーから翌日の会議一覧を取得し、各会議の参加者・議題をもとに、CRM(Salesforceなど)から直近の商談履歴を引き当て、社内ナレッジベースから関連ドキュメントを検索する。これらを要約したアジェンダをSlackの該当チャネルに自動投稿する。

ある企業では、この自動化により会議準備にかかる時間を1会議あたり平均15分から2分に短縮した。月間200件以上の会議がある部門では、これだけで月43時間以上の工数削減となる。

ユースケース2:空き時間ベースの商談・面談設定

CRMのリード情報とカレンダーの空き枠を突合し、候補日時を自動で提示する。営業担当者が日程調整に費やす時間は、1件あたり平均3-4往復のメールを要するが、MCP経由の自動化により0.9秒で候補日の抽出が完了する。

Google Calendar MCPサーバーは複数アカウント・複数カレンダーの同時参照に対応しており、「営業担当のカレンダー」「会議室の空き状況」「顧客の希望時間帯」を横断的に検索できる。これにより、従来のカレンダー調整ツール(Calendlyなど)では対応できなかった、社内の複雑な制約条件(部門横断の同席者調整、タイムゾーン考慮、連続会議の回避)にも柔軟に対処できる。

ユースケース3:プロジェクト進捗とカレンダーの同期

JiraやLinearのマイルストーン更新をトリガーに、カレンダーイベントを自動で作成・更新する。プロジェクトのフェーズゲートレビューやリリース日がプロジェクト管理ツール側で変更されると、関連する全参加者のカレンダーに即座に反映される。

この連携により、「プロジェクト管理ツールとカレンダーの二重管理」という日本企業で頻発する非効率が解消される。

接続アーキテクチャ

Google Calendar × MCPの接続構成を以下に示す。

[AIエージェント(Claude / ChatGPT / Gemini)]
        │
        ▼
  [MCPクライアント]
        │  JSON-RPC 2.0(StreamableHTTP / stdio)
        ▼
  [Google Calendar MCPサーバー]
        │  OAuth 2.0 / OAuth 2.1
        ▼
  [Google Calendar API]
        ├─ events.list      (イベント取得)
        ├─ events.insert     (イベント作成)
        ├─ events.update     (イベント更新)
        ├─ events.delete     (イベント削除)
        ├─ freebusy.query    (空き時間検索)
        └─ calendarList.list (カレンダー一覧取得)

MCPサーバーは、AIエージェント側の自然言語リクエストを受け取り、適切なGoogle Calendar APIコールに変換するミドルウェアとして機能する。MCPプロトコルの最新仕様(2025-11-25版)では、StreamableHTTPトランスポートが標準となっており、リモートサーバーとしてHTTPS経由での運用が可能である。

主要なMCPサーバー実装の選択肢

2026年2月現在、Google Calendar向けのMCPサーバーは複数の実装が存在する。

実装言語特徴エンタープライズ適性
@cocal/google-calendar-mcpTypeScript複数アカウント対応、画像からのイベント取得、Docker対応
mcp-google-calendar(am2rican5)TypeScriptOAuth 2.0完備、SSE/WebSocket対応
Google Workspace統合版TypeScriptCalendar含むGmail/Drive/Docsを一括管理
calendar-mcp(deciduus)PythonFastMCPベース、分析機能付き
n8n MCPサーバーノードノーコードn8nのGoogle Calendarノードをそのまま公開
Zapier MCPマネージド設定不要、8,000+統合エコシステムの一部△(Enterprise非対応)

エンタープライズ環境では、複数アカウント・複数カレンダーへの対応、Docker/リモートデプロイへの対応、認証トークンの永続化管理が選定の重要基準となる。単一の個人利用であればどの実装でも問題ないが、組織全体での運用には@cocal/google-calendar-mcpまたはGoogle Workspace統合版が推奨される。

実装ステップ(5ステップ)

Step 1:Google Cloud Projectの準備とAPI有効化

Google Cloud Consoleで新規プロジェクトを作成し、Google Calendar APIを有効化する。

# gcloud CLIでの操作例
gcloud projects create my-calendar-mcp --name="Calendar MCP"
gcloud services enable calendar-json.googleapis.com --project=my-calendar-mcp

OAuth同意画面の設定では、ユーザータイプの選択が最初の重要な判断ポイントとなる。エンタープライズ利用では「内部(Internal)」を選択することで、Google Workspace組織内のユーザーのみにアクセスを制限できる。外部公開アプリとしてのGoogleの審査プロセスが不要になり、導入までのリードタイムを大幅に短縮できる。

Step 2:OAuth認証の設計と実装

OAuthクライアントIDの作成後、スコープの設計を行う。Google Calendar APIのスコープは以下の3段階に分かれる。

スコープアクセスレベル用途
calendar.readonly読み取り専用イベント参照・空き時間検索のみ
calendar.eventsイベント操作イベントのCRUD(カレンダー設定は変更不可)
calendarフルアクセスすべてのカレンダー操作

最小権限の原則に従い、ユースケースに必要な最小限のスコープのみを付与する。読み取り専用で十分なユースケース(会議一覧の取得、空き時間検索)にはcalendar.readonlyを使い、イベント作成が必要な場合にのみcalendar.eventsに拡張する。calendar(フルアクセス)の付与は、Google側でセンシティブスコープとして扱われ、組織管理者の追加承認が必要となるため、慎重に判断する。

MCPサーバーの設定例(Claude Desktop)は以下のとおりである。

{
  "mcpServers": {
    "google-calendar": {
      "command": "npx",
      "args": ["@cocal/google-calendar-mcp"],
      "env": {
        "GOOGLE_OAUTH_CREDENTIALS": "/path/to/gcp-oauth.keys.json"
      }
    }
  }
}

Step 3:MCPサーバーの構成とツール公開範囲の設定

MCPサーバーが公開するツール(操作)の範囲を制御する。Google Calendar MCPサーバーは通常、以下のようなツールセットを持つ。

  • list-events:指定期間のイベント一覧を取得
  • create-event:新規イベントを作成
  • update-event:既存イベントを更新
  • delete-event:イベントを削除
  • find-free-time:空き時間を検索
  • manage-accounts:接続アカウントの管理

すべてのツールを公開する必要はない。--enable-toolsフラグやENABLED_TOOLS環境変数を使い、業務要件に応じて公開範囲を絞り込むことが推奨される。ツール数を制限することで、AIのコンテキストウィンドウの消費を抑え、ツール選択時のハルシネーションリスクも低減できる。

# 読み取り系ツールのみ公開する例
ENABLED_TOOLS="list-events,find-free-time" npx @cocal/google-calendar-mcp

Step 4:他システムとの統合テスト

単体のカレンダー操作が確認できたら、他のMCPサーバーやワークフローエンジンとの統合テストを実施する。典型的な統合パターンは以下のとおりである。

  • Calendar × Slack MCP:翌日の会議アジェンダをSlackに自動投稿
  • Calendar × GitHub MCP:スプリントレビューの日程をリポジトリのマイルストーンから同期
  • Calendar × CRM:商談ステージの更新に連動して次回アクションの予定を自動作成
  • Calendar × n8n:n8nのワークフローからMCPサーバー経由でカレンダー操作を実行

n8nを用いた統合では、n8nの「MCP Server Trigger」ノードでGoogle Calendarノードをラップし、MCPサーバーとして公開する構成が実用的である。この方法では、n8nの持つ400以上のネイティブ統合をMCPツールとして利用可能にしつつ、ワークフローの変更がMCPクライアント側に自動反映される。

Step 5:本番デプロイとモニタリング

ローカル開発環境からの移行では、Dockerコンテナ化が標準的なアプローチとなる。

# docker-compose.yml
version: '3.8'
services:
  calendar-mcp:
    build: .
    ports:
      - "3000:3000"
    environment:
      - GOOGLE_OAUTH_CREDENTIALS=/credentials/gcp-oauth.keys.json
      - ENABLED_TOOLS=list-events,create-event,find-free-time
    volumes:
      - ./credentials:/credentials:ro
    restart: unless-stopped
    healthcheck:
      test: ["CMD", "curl", "-f", "http://localhost:3000/health"]
      interval: 30s
      timeout: 10s
      retries: 3

MCP仕様の最新版(2025-11-25)で導入されたStreamableHTTPトランスポートを用いることで、単一のHTTPSエンドポイントでMCPサーバーを公開できる。旧来のSSE専用エンドポイントが不要となり、企業ネットワークのファイアウォール設定も簡素化される。

エンタープライズでの注意点

Google Calendar × MCPの導入において、エンタープライズ環境特有の課題と対策を整理する。

OAuth同意画面と管理者承認

Google Workspace環境では、管理者がAdmin Console(セキュリティ > APIの制御)でOAuthアプリのアクセスを一元管理する。MCPサーバーのOAuthクライアントIDを「信頼済み」として登録しなければ、ユーザーはカレンダーデータへのアクセスを許可できない。

2025年末以降、Google Workspaceは「Granular OAuth Consent」を導入しており、ユーザーがスコープ単位で個別に承認・拒否できるようになった。これにより「カレンダーの読み取りは許可するが書き込みは拒否する」といった細やかな制御が可能になっている。エンタープライズでは、組織のセキュリティポリシーに沿ったスコープ設計と管理者承認フローの事前整備が不可欠である。

カレンダーデータのPII(個人識別情報)取り扱い

カレンダーイベントには、参加者のメールアドレス、会議のタイトル(商談先企業名を含む場合がある)、会議室の位置情報などのPIIが含まれる。MCPサーバーがこれらのデータをAIモデル(LLM)に送信する際、以下の点を検討する必要がある。

  • データ最小化:LLMに送信するカレンダーデータを必要最小限に絞る。空き時間検索であれば、イベントのタイトルや参加者名は不要であり、時間帯の情報のみで十分である
  • DLP(データ損失防止):社外秘の会議タイトル(例:M&A関連)がLLMのコンテキストに含まれることを防ぐフィルタリングルールの設定
  • 監査ログ:誰が、いつ、どのカレンダーデータにAI経由でアクセスしたかを記録する仕組みの整備

Domain-Wide Delegationの慎重な運用

Google Workspaceの「Domain-Wide Delegation」を使うと、サービスアカウント経由で組織内の全ユーザーのカレンダーにアクセスできる。管理業務の自動化には強力だが、権限範囲が極めて広いため、セキュリティリスクも高い。マルチパーティ承認が有効化されている組織では、Domain-Wide Delegationの設定変更に別の特権管理者の承認が必要となる。

homulaでは、Domain-Wide Delegationの利用は「全社カレンダー分析」「会議室稼働率レポート」など、明確にユースケースが限定される場合にのみ推奨しており、日常的なAIエージェント連携にはユーザー単位のOAuth認可を標準としている。

Rate LimitとAPIクォータ

Google Calendar APIには1ユーザーあたり1,000,000リクエスト/日のデフォルトクォータが設定されているが、組織全体で共有されるプロジェクト単位の制限もある。大規模組織でMCPサーバーを共有運用する場合、AIエージェントのリクエスト頻度がクォータを圧迫する可能性がある。MCPサーバー側でのキャッシュ戦略(直近の予定一覧を短時間キャッシュする等)とバックオフ戦略の実装が推奨される。

よくある質問

Google Calendar MCPサーバーは無料で使えるか?

主要なGoogle Calendar MCPサーバーの実装はオープンソース(MIT License)で公開されており、ソフトウェアの利用自体は無料である。ただし、Google Calendar APIの利用にはGoogle Cloudプロジェクトが必要であり、APIコール数が無料枠を超えた場合は従量課金が発生する。実運用においては、APIコスト自体は月間数百円程度に収まるケースがほとんどであり、人的コストの削減効果と比較すれば無視できるレベルである。

既存のCalendly等のスケジュール調整ツールとの違いは何か?

Calendlyのような既存ツールは「外部との日程調整」に特化しているが、MCP連携の本質は「AIエージェントがカレンダーをコンテキストとして理解し、他の業務データと組み合わせた意思決定を行う」点にある。たとえば、CRMの商談データとカレンダーの空き枠を突合して最適な商談日を提案する、あるいは過去の会議頻度からプロジェクトの進捗リスクを推定するといった、複合的な判断がMCPの真価である。

Google Workspaceの管理者承認にはどのくらい時間がかかるか?

「内部(Internal)」アプリとして設定した場合、OAuth同意画面の設定後、テストユーザーの反映に数分から最大24時間を要する。組織の管理者がAdmin ConsoleでOAuthクライアントIDを「信頼済み」に登録する手続き自体は数分で完了するが、社内のセキュリティレビュープロセス(情報セキュリティ委員会の承認等)を含めると、2-4週間を見込むのが現実的である。homulaのブートキャンプでは、3-5日のプログラム期間中にテスト環境でのPoC実行と、本番承認申請に必要なセキュリティ要件定義書の作成までを完了する。


Google Calendar × MCPの連携は、エンタープライズのスケジュール管理を「受動的な記録」から「能動的な業務自動化基盤」へと転換する第一歩となる。重要なのは、カレンダー単体の自動化ではなく、CRM・プロジェクト管理・コミュニケーションツールとの統合によって生まれる複合的な業務価値である。

Agensなら、Google Calendarを含む200以上のツールとの接続を構築ゼロで実現できる。OAuth認証の設計・管理者承認フローの整備・DLP設定まで、エンタープライズ導入に必要な要素を一括で支援する。

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株式会社homula(ホムラ)は、2019年創業・累計調達3.2億円のAIインテグレーターです。n8n・Dify・LangGraphを活用したAIエージェント導入支援を専門とし、戦略策定からPoC(最短5日)、本番実装、運用・内製化までを一気通貫で提供しています。