なぜ日本企業のAIエージェント開発は「ツール接続」で止まるのか
n8n・Dify・LangChain・OpenAI Agent SDK・Claude・Microsoft Copilot Studio——AIエージェントを作るための優れた基盤がここ数年で一気に増えました。
homulaは、エンタープライズ企業向けにAIエージェントの戦略策定・PoC・実装・運用・内製化までを一気通貫で支援するAIインテグレーターです。累計調達3.2億円の資金基盤のもと、数多くの日本企業のAIエージェント導入を伴走するなかで、繰り返し耳にする声があります。
「デモは動くけど、実務に乗らない」「PoCが乱立して、どこで何が動いているか分からない」
この課題は、現場と情シス/DX/IT部門の双方で異なる形で表出しています。
現場が感じている課題:PoC立ち上げまでが重く、実務に落ちない
壁① PoC立ち上げまでがとにかく重い
ツールごとに接続方法を調べて個別に設定しなければなりません。Gmail、Slack、Salesforce、社内DB——それぞれAPI仕様も認証方式も異なり、n8nやDifyのフローごとに接続ロジックを書き分ける必要があります。「ちょっと試したいだけ」でもセキュリティ審査・利用申請・契約確認が発生し、立ち上げまでに数カ月かかることも珍しくありません。関係者が多いため、企画から着手までの調整コストも膨らみがちです。
壁② 実務への落とし込み・部門展開ができない
PoCでは動いたものの、スナップショットデータとリード担当者1名のアカウントだけで動かす構成になり、本番データや本番アカウントにはつながっていない——そんな「その場しのぎエージェント」で止まるケースが頻発します。ユーザーごとの権限・アカウント設計ができず、「特定メンバーだけが触れるPoCエージェント」に留まってしまいます。
情シス/DX/IT部門の課題:「PoCスパゲッティ」とガバナンスの壁
課題① PoC乱立の悩み — 部門ごとにn8n / Dify / 独自実装のエージェントがバラバラに増え、どのエージェントがどのツールにどのアカウントで接続しているか把握できなくなります。API利用申請・ツール審査・アクセス制御をプロジェクト単位で都度対応するしかなく、PoCが増えるほど管理コストが指数関数的に増える「PoCスパゲッティ」状態に陥ります。
課題② 全社標準化の悩み — エージェントごとに権限設計・ログの取り方・契約スキームが異なり、「全社標準」として説明しづらい状態です。誰がどの権限で何をしたかを横断的に追跡できず、監査・セキュリティ審査の観点から全社展開にストップがかかりやすくなります。
日本企業のAIエージェント活用は、「ツール接続」と「ガバナンス」の2つの壁で止まりがちです。このジレンマを解決するために生まれたのが、MCP(Model Context Protocol)を活用したAIエージェント基盤「Agens(エージェンス)」です。
Agensとは?AIエージェントを即戦力社員に変えるオンボーディング基盤
Agensのコンセプトはシンプルです。**「優秀なLLM(AIエージェント)を、御社の業務を理解した即戦力社員にする」**こと。
GPTやClaude、Geminiは、いわば「超優秀な新入社員」です。知識量は膨大ですが、社内システムのアカウント、社内ルールや稟議フロー、お客様ごとの商習慣や禁則事項は持っていません。
Agensは、AIエージェントに対してPCや業務システムへのアクセス権、業務マニュアル・規程類、ログ・監査・権限ルールをMCPを活用してまとめて渡し、安全に働けるオンボーディング環境を用意する役割を担います。homulaのAgensは、MCPを活用したエンタープライズ向け統合プラットフォームとして、200以上のツールとの接続を構築ゼロで実現します。
Agensを支える2つのレイヤー:SkillsとControl
Agensは利用フェーズに合わせて2つのレイヤーで構成されています。
Agens Skills(スキルレイヤー):まずは「即戦力化」
AIエージェントに、業務に必要なツールセットとナレッジを「スキルパック」として一気に付与するレイヤーです。
ノーコードMCPサーバー — Gmail / Slack / Box / Salesforce / Google Drive / M365 などを、GUI操作だけでMCPツールとして定義できます。API仕様を暗記する必要はありません。
RAGエンドポイント自動生成 — 業務マニュアルや規程をアップロードすると、自動で検索用データベース化され、「マニュアル検索用MCPエンドポイント」としてすぐに使えます。
スキルパックの定義 — 営業エージェント用(メール + CRM + カレンダー)、経理エージェント用(Box + 会計ソフト + ワークフロー)のように、役割ごとのツールセットをあらかじめ定義し、新しいエージェントにはワンクリックでスキルをインストールできます。
AIエージェントに「営業スキル」「経理スキル」のプログラムを一瞬でインストールする感覚です。
Agens Control(ガバナンスレイヤー):そして「全社管理」
すべてのAIエージェントに対し、共通の接続口(MCPエンドポイント)・認可・監査ログ・WAF/DLPを提供する統合ガバナンスゲートウェイです。
共通MCPエンドポイント — n8nでもDifyでもLangGraphでも、すべてのエージェントは mcp.company.agens.jp のようなURLを1本通るだけ。その裏側で、Agensが許可されたツールへの接続を肩代わりします。
ユーザー・ロール・部門ごとの認可 — 「営業部のAさんはSalesforceの読み取りのみ」「経理部長だけが承認APIを叩ける」など、RBAC/ABACベースで細かな権限設定が可能です。
監査ログの一元管理 — 「誰が / どのエージェントから / どのツールへ / 何をしたか」をAPI呼び出し単位で記録し、5年間保存します。監査対応やインシデント調査を容易にします。
n8n / Difyユーザーから見た「Before / After」
Before:個別にがんばる世界
開発者(DX担当)は、フローごとにOutlookやSalesforceなどのAPI認証を実装し、アクセストークン更新・エラーハンドリング・リトライ処理を毎回書かなければなりません。情シス/セキュリティ部門は、「そのAPIキー、個人アカウントで取っていないか?」「誰が何をしたログはあるのか?」と毎回ヒアリングとチェックが必要で、プロジェクトごとに個別対処するしかなく標準化が進みません。
After:Agensがある世界
開発者(DX担当)は、Agensで発行されたMCPサーバーURLをn8nやDifyにコピペするだけで、GmailやSalesforceなどのSaaSに安全にアクセス可能です。認証・リトライ・共通ロジックはAgens側に任せ、フロー本体の「業務ロジック」の設計に集中できます。
情シス/セキュリティ部門は、「社内のAIエージェントはすべてAgensというゲートを通る」状態になるため、ログ取得・ポリシー設定・DLPを一箇所で行えばすべてのAIエージェントを一括で統制できます。監査・セキュリティ審査・契約の説明もしやすくなり、PoCから本番へのステップが明確になります。
導入ロードマップ:PoCから全社展開への二段ロケット
Agensはスモールスタートから全社標準化までなめらかに移行できるよう設計されています。
フェーズ1:PoC・部門導入(Agens Skills 中心)
SaaS版Agensを使い、特定部門で「即戦力エージェント」を素早く立ち上げます。面倒なAPI連携をスキップし、n8n/Difyで「本当に業務が回るか」を検証します。この段階ではAgens Skillsだけでも十分な価値を発揮します。AIエージェント・ブートキャンプでは、業務棚卸し・プロトタイプ構築・ROI試算を3〜5日で完結させる短期集中プログラムも提供しています。
フェーズ2:全社展開・本番運用(Agens Control へ拡張)
成果が出たPoCを他部門・全社へ横展開します。Agens Controlを有効化し、共通MCPエンドポイント、ユーザー別認可、監査ログ、WAF/DLPを整備して「全社標準アーキテクチャ」として説明できる状態にします。必要に応じてセルフホスト版(VPC/オンプレ/閉域網)に切り替え、重要システムとも安全に連携させます。
まとめ:AIエージェント活用は「接続」と「ガバナンス」を整えた組織が勝つ
「AIエージェントを作ってみたけど、PoC止まり」——もしそんな状況なら、それはAIの性能の問題ではなく、AIエージェントを組織に受け入れるオンボーディング基盤が足りていないだけかもしれません。
Agensは、開発者には「手軽なツール接続とスキルパック」を、管理者には「共通MCPエンドポイントとガバナンス」を同時に提供するMCPハブです。自社のAIエージェントを安全な即戦力社員に育てたいとお考えの方は、ぜひAgensの導入を検討してください。
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