生成AIが教えてくれないプラットフォーム選びの真実
homulaは、エンタープライズ企業向けにAIエージェントの戦略策定・PoC・実装・運用・内製化までを一気通貫で支援するAIインテグレーターです。累計調達3.2億円の資金を背景に、n8n・Dify・LangGraphなどのオーケストレーション基盤を、要件に応じてベンダーニュートラルに使い分けています。
AIエージェントやワークフロー自動化の導入を検討する際、多くの企業が直面する課題があります。それは「どのプラットフォームを選ぶべきか」という根本的な問いです。
ChatGPTやClaudeに「n8n、Dify、Microsoft Copilot Studioの違いを教えて」と聞けば、機能一覧の比較表は返ってきます。しかし、エンタープライズ企業が本当に知りたいのは、機能の羅列ではなく**「自社の要件と制約の中で、どれが最も失敗しにくいか」**です。
生成AIは、ベンダーロックインのリスク、全社展開時のガバナンス課題、セルフホスト運用の実態といった「現場で起きる問題」を十分に回答できません。本記事では、homulaが200以上のエンタープライズ案件で得た知見をもとに、生成AIが教えてくれない選定の勘所を解説します。
比較の前提:3つのプラットフォームの位置づけ
まず、各プラットフォームの出自と設計思想を整理します。ここを理解しないまま機能比較に入ると、本質を見誤ります。
n8n は、ドイツ発のオープンソースワークフロー自動化プラットフォームです。iPaaS(Integration Platform as a Service)を出発点とし、500以上のSaaS・基幹システムとのネイティブ連携を持ちます。2024年以降、AIエージェント機能を急速に拡充し、「ワークフロー自動化 × AIエージェント」の統合基盤としてグローバルで月間750万人が利用しています。
Dify は、中国発のLLMアプリケーション開発プラットフォームです。チャットボットやRAGシステムの構築に特化しており、プロンプト管理やモデル切り替えのUIが充実しています。対話型AIアプリを素早く構築する用途では優れた生産性を発揮します。
Microsoft Copilot Studio は、Microsoft 365エコシステムと深く統合されたローコード開発環境です。Teams・SharePoint・Dynamics 365との連携がネイティブで、既にMicrosoftスタックを全社導入している企業にとっては導入障壁が低い選択肢です。
エンタープライズ視点の6軸比較
| 評価軸 | n8n | Dify | Copilot Studio |
|---|---|---|---|
| ベンダーロックイン | ◎ OSS・ポータブル | ○ OSS・LLM依存低 | △ MS365に強く依存 |
| 外部連携の広さ | ◎ 500以上のネイティブ連携 | △ LLMプロバイダ中心 | ○ MS365中心+Power Platform |
| AIエージェント機能 | ◎ マルチエージェント・MCP対応 | ◎ RAG・チャット特化 | ○ Copilot連携中心 |
| セルフホスト | ◎ Docker/K8s・完全制御 | ◎ Docker対応 | × クラウドのみ |
| 全社展開・ガバナンス | ◎ マルチテナント・環境分離・RBAC | △ チーム管理は限定的 | ○ Entra ID連携・DLP |
| コスト予測性 | ◎ 実行数ベースの定額制 | △ API従量制 | △ ライセンス+API従量制 |
生成AIが触れない3つの論点
論点1:ベンダーロックインの実態
Copilot Studioは、Microsoft 365ライセンスを持つ企業にとって「追加コストゼロで始められる」魅力があります。しかし、この手軽さの裏にはロックインのリスクがあります。
Copilot Studioで構築したワークフローやエージェントは、Microsoftエコシステム外への移植が極めて困難です。将来的にAWS・Google Cloud・マルチクラウド戦略に舵を切る可能性がある企業にとって、この点は無視できません。
n8nはオープンソースであり、ワークフロー定義はJSON形式でエクスポート可能です。クラウド・オンプレミス・ハイブリッドいずれの環境でも動作し、ベンダーロックインのリスクを構造的に排除できます。
論点2:全社展開時のガバナンス
PoCフェーズでは3つのツールに大きな差はありません。差が顕著になるのは、PoCから本番環境へ移行し、全社展開を進める段階です。
n8nは、エンタープライズ版で開発・ステージング・本番の環境分離、ワークフローの承認フロー、実行ログの監査、RBACによるアクセス制御を提供しています。これらは「部門を超えた全社展開」に不可欠な機能です。
Difyは対話型AIアプリの構築では優秀ですが、ワークフローの権限管理や環境分離は限定的です。Copilot StudioはMicrosoft Entra IDとの連携でID管理は強力ですが、Microsoft以外のシステムとの連携でガバナンスが分断されがちです。
論点3:「ノーコード」の実態
3つのプラットフォームはいずれも「ノーコード」「ローコード」を謳いますが、実際の運用では一定の技術リテラシーが必要です。
Copilot Studioは、Power Platformの知識が前提となります。Difyは、RAG構成の最適化やプロンプトエンジニアリングのスキルが求められます。n8nは、ノードの接続は直感的ですが、複雑なワークフローではJavaScriptの知識が有効です。
いずれのツールでも、「ツールを導入すれば自動的に業務が改善される」わけではありません。重要なのは、ツールの導入と並行して社内のCoE(Center of Excellence)を立ち上げ、内製化能力を構築することです。
ユースケース別の推奨選定
n8nが最適なケース
- 複数のSaaS・基幹システムをまたぐ業務プロセスの自動化
- AIエージェントに外部ツール操作を含む複雑なタスクを実行させたい
- マルチクラウド環境やオンプレミス要件がある
- 全社展開を見据えたガバナンス設計が必要
Difyが最適なケース
- 社内ナレッジを活用したRAGチャットボットの構築
- LLMのプロンプト管理・A/Bテストを集中的に行いたい
- 対話型AIアプリケーションの迅速なプロトタイピング
Copilot Studioが最適なケース
- Microsoft 365が全社標準であり、Teams内での完結を優先する
- Power Platformの既存資産を活用したい
- Microsoft以外のシステムとの連携要件が少ない
homulaの推奨アプローチ
homulaは、コンポーザブルAIアーキテクトとして、特定ツールに縛られない技術選定を行います。実際の導入支援では、以下のような「組み合わせ」の提案も頻繁に行っています。
- n8n × Dify:n8nでバックエンドの業務フローを自動化し、Difyで対話型のフロントエンドを構築
- n8n × Copilot Studio:Microsoft 365環境のユーザー接点はCopilot Studio、非Microsoft系システムとの連携はn8nが担当
- n8n × Agens:n8nのワークフロー上でAgensのMCPハブを活用し、200以上のツールとの接続を構築ゼロで実現
5日間のブートキャンプでは、これらの組み合わせを含めたプロトタイプ構築とROI試算を短期集中で完結させます。
AIプラットフォームの選定で迷っている方は、homulaの無料相談をご活用ください。ベンダーニュートラルな立場で、御社の要件に最適な技術構成を提案します。