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オピニオン

エクセルを自分で操作する時代は終わるのか

AIエージェントの登場で、業務ソフトの「画面」は主役の座を降りつつあります。必要なアプリやダッシュボードは、その場でLLMが生成する時代へ。SaaSの「買う・作る」、データ基盤、ノーコードの位置づけはどう変わるのか。homula代表が、新機能AI LiveAppの開発を通じて見えた構造変化を論じます。

読了 11分|峻 福地

ここ1〜2年、業務ソフトウェアの使われ方が、静かに、しかし根本から変わり始めています。SaaSの画面を人が操作し、Excelに数字を打ち込み、BIツールをわざわざ見に行く。長らく当たり前だったこの前提が、AIエージェントの登場によって崩れつつあります。

電卓が普及した時代に、そろばんの速さを競っても、あまり意味はありません。それと同じように、人がソフトウェアを直接操作するという行為そのものも、やがて過去の習慣になっていくのだろうと思います。実際、私自身のPC上の業務——調べる、まとめる、書く、コードを書く、データを分析する——の大半は、すでにLLMやAIエージェントが、多くの場合は私が手を動かすより高い品質で担っており、人間の役割は指示と確認へと移りつつあります。

「何ができるのか」という問いと、現実の距離

もっとも、この変化はまだ、広く実感されているとは言えません。商談の場でも、「AIエージェントの活用事例を教えてほしい」「具体的に何ができるのか」といった、どこか様子見の問いを、今でもよくいただきます。実際にデモをご覧いただいても、「にわかには信じがたい」と、その能力を実際より低く見積もられることが少なくありません。

無理もない面はあると思います。ここ1〜2年の進歩は、現場の肌感覚を追い越す速さで進んでいて、すぐには信じきれないのが自然だからです。ただ、正直に申し上げると、私はこの距離感に、少なからぬ危機感も覚えています。PCの前で行うナレッジワークのほとんどは、もう「これからできるようになる」ではなく、「すでにこなせてしまう」段階に来ているからです。問われているのは伸びしろではなく、すでに起きている変化をどれだけ早く捉えられるか、のほうに移りつつあります。

では、その変化は具体的にどこに表れているのか。業務アプリケーションとBI(ビジネスインテリジェンス)を例に、順に見ていきます。

業務ソフトの主役は「画面」ではなくなる

これまで業務ソフトの競争力の源泉は、洗練された画面と、ユーザーがその操作に習熟していることにありました。使い慣れたUIそのものが、乗り換えを妨げる堀(参入障壁)として機能してきたわけです。

ところがAIエージェントは、人間向けの画面を必要としません。データとルール、文脈、そして実行の権限さえあれば、APIを通じて直接動きます。そうなると、画面で囲い込むという発想そのものが弱まり、ソフトウェアの価値は、表側のUIから、裏側のデータモデルや権限設計、業務ロジックへと移っていきます。

海外でも同じ指摘が出始めています。たとえばa16zは、この潮流をソフトウェアが「頭(ヘッド)」を失っていくと表現しました。"顔"である画面が外れ、機能だけが裏側で動く——的を射た言い方だと思います。

データは「集めて貯める」から「その場で組み立てる」へ

変化が最も顕著なのは、データの扱いです。

従来のBIは、重い前工程を前提としていました。社内に散在するデータをデータウェアハウスに集約し、SQLで加工・整形し、ようやくダッシュボードに載せる。専任の人材なしには回らず、「見たい」と思ってから実際に見られるまでに数日を要することも珍しくありませんでした。

この前提が崩れています。MCP(Model Context Protocol)によって多様なデータソースへの接続が標準化され、その先のデータ整形も画面生成も、LLMがその場でコードを書いて用意するようになりました。Anthropicも、ツールを逐次呼び出すより、AI自身にコードを書かせて処理させる方が効率的だという方向で開発を進めています。実装してみても、この筋の良さは明らかでした。

結果として、「先月の関西の売上は」と問えば、数十秒で可視化された答えが返ります。重い基盤をあらかじめ構築しておく必要はなく、必要なデータだけをその都度集め、見たい形に組み立てればよい。ダッシュボードは、あらかじめ作り込んで維持し続ける資産というより、必要なときにその場で立ち上げるものへと近づいています。

「買う」か「作る」かではなく、「頼んで生む」へ

これは可視化に限った話ではありません。業務アプリケーションそのものを、LLMがその場で生成するようになりました。

これまで業務システムの選択肢は、実質的に二つでした。既製のSaaSを「買う」か、スクラッチで「作る」か。前者は手軽な一方で機能が固定され、使わない機能にも課金されます。後者は自由度が高い反面、ベンダーやエンジニアへの依頼と開発待ちの時間とコストが、変更のたびに発生します。

ここに第三の選択肢が現れました。欲しい形を言葉で伝えれば、その場で生まれる。既製SaaSの機能制約からも、費用を払って開発を依頼し、待つというプロセスからも解放されます。ソフトウェアが、作業を支援する道具から、作業そのものを引き受ける存在へと変わりつつある、と言い換えてもよいかもしれません。

ノーコードは、AI時代にかえって足かせになる

ここで一つ、見方を改めた点があります。ノーコードツールの位置づけです。

非エンジニアでも作れるという点で、ノーコードは長く有効な解でした。しかし、AIにコードを書かせることが当たり前になると、ノーコードのGUIを人が操作すること自体が、むしろ非効率に見えてきます。ブロックを並べ、接続を設計するという作業が、よけいな中間工程になるからです。

AIに素直にコードを書かせた方が、簡単で、品質が高く、速い。LLMが最も得意とするのがコードの記述である以上、これは自然な帰結です。「人がコードを書かずに済む」ことを実現する手段は、ノーコードのGUIから、AIへの委任へと移りました。この論点は別稿で詳しく扱っています。

「作れる」ことと「動かし続ける」ことは別の問題

ここまで読むと、ならばClaude Codeのようなツールですべて作ればよい、と思われるかもしれません。作ること自体は、確かにもうできます。

問題はその先です。作った瞬間から、どこで動かし続けるか、データをどう保持するか、誰がどこまで操作できるか、記録をどう残すか、という運用の課題がまるごと残ります。コードを書くツールは本質的に「作って終わり」であり、業務で本当に必要なのは、作った後も止まらず動き続け、組織で共有でき、権限と監査が効くシステムの方です。

作ることのコストが下がるほど、価値の重心はこの運用層——業務ロジック、権限、文脈の管理——へと移っていきます。画面の使い勝手のような優位は薄れても、ここの優位は消えません。

AI LiveApp という解

こうした構造変化を踏まえて開発したのが、agensの新機能「AI LiveApp」です。

狙いは明快で、ExcelとSaaS、BIツールを行き来して成り立っていた業務を、一つのAIに集約することにあります。「商談を管理するアプリが欲しい」と伝えれば、画面も入力フォームもダッシュボードも生成される。データはメールや書類、外部サービスからAIが読み取って自動で最新化され、停滞した案件や期限、異常値があれば、こちらから見に行かずとも通知が届きます。

通常のアプリは人が入力するもの、BIは見に行くもので、チャットボットは質問に答えてはくれますが、そのやり取りが業務データとして残るわけではありません。これらをばらばらに使うのではなく、記録・管理、分析、自動化をひとつにまとめ、アプリ自体が動き続ける状態をつくります。

加えて、日本企業との議論で必ず論点になる点として、これらすべてを自社サーバーの内側で完結できるようにしました。機密データを外部に出さない構成を組め、利用するLLMも選択できます。ここは、設計のうえで譲りたくない部分でした。

効率化ではなく、前提の転換

最後に強調したいのは、これが効率化の延長ではない、ということです。人がSaaSを操作し、Excelに入力し、ダッシュボードを見に行く。問われているのは、その作業の巧拙ではなく、前提そのものです。

私自身の業務が指示と確認に移ったように、組織の働き方の前提も、これから数年で書き換わっていくはずです。その移行を日本企業とともに進めるために、私たちはagensとAI LiveAppを開発しています。

AI LiveAppの詳細はプロダクトページに、導入のご相談は無料相談からどうぞ。

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homulaは、エンタープライズ企業向けにAIエージェントの導入を一気通貫で支援するAIインテグレーターです。まずは30分の無料相談で、貴社の課題に最適なアプローチをご提案します。

株式会社homula(ホムラ)は、2019年創業・累計調達3.2億円のAIインテグレーターです。n8n・Dify・LangGraphを活用したAIエージェント導入支援を専門とし、戦略策定からPoC(最短5日)、本番実装、運用・内製化までを一気通貫で提供しています。