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AIエージェント導入のセキュリティ実践 — 第6回

ベンダー質問票と自社点検チェックリスト

SaaS/PaaS型を選ぶときにベンダーへ確認する18問と、導入前・導入時・運用の21項目で自社を点検する。

8〜10分対象: 情報システム・セキュリティ・業務部門の責任者最終更新: 2026年10月

この回の使い方:SaaS/PaaS型を選ぶときは、ベンダー質問票の18問で確認する。自社で導入・運用するときは、21項目のチェックリストで、導入前・導入時・運用の各段階を点検する。各項目の右端は、手順を解説した節(または原則)へのリンク。

第1〜5回で解説した統制を、確認と点検に使える形にまとめました。質問票は原則1〜8と、導入時・運用の確認事項、デジタル庁の源内基準に対応しています。

原稿:ホワイトペーパー第1.0版(2026年10月)

本記事は、homulaのホワイトペーパー「業務AI・AIエージェント導入の情報セキュリティ実践ガイド」をWeb向けに再構成したものです。事実には [ ] で出典番号を付け、記事末尾に原文へのリンクを載せています。出典番号のない手順・推奨と「本ガイドの提案」と明記した事項は、本ガイドが提案するものです。

PDF版(25ページ・図17点)を無料でダウンロード

社内の検討資料にそのまま使えるPDF版です。ベンダー質問票には回答の記入欄があります。

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1.ベンダー質問票 — SaaS/PaaS型を選ぶときは、この18問で確認する

SaaS/PaaS型のAIエージェントを選定するときに、ベンダーへ確認します。PDF版では右端の欄に回答の要点を記入して使えます。

ID・認証情報

  1. 01エージェントは人間のユーザーとは別のIDで動作するか。IDaaS(Entra/Okta等)と連携できるか原則2
  2. 02預けた接続先の認証情報(OAuthトークン・APIキー)はどこに、どう保存されるか。平文保存はないか。鍵管理(KMS/HSM)はどうなっているか[A1][B5]原則3
  3. 03トークンの有効期間・スコープ・失効手段。長期有効なトークンを使っていないか[A2][B2]原則3

ツール・承認・通信

  1. 04接続するツール・MCPサーバーを許可リストで固定できるか。ツール定義の変更を検知するか[B1][B2]原則1
  2. 05高影響操作(送信・削除・変更・決済・権限変更)を人間の承認なしに実行し得るか。承認はプロンプトでなく基盤で強制されるか[B1]原則4
  3. 06エージェント・サンドボックス・ブラウザの外向き通信はどう制限されるか。DNS・画像読み込み・メッセージ送信も対象か。内部アドレス帯・メタデータエンドポイントは遮断されるか[A6][B2]原則5

ログ・データ

  1. 07ツール呼び出し単位の監査ログを、エージェントIDと委任ユーザーを含めて、人間が読める形式で、利用組織が自分で参照できるか。保持期間と改竄耐性は[B1][B10][B11]原則6
  2. 08会話履歴・メモリ・実行ログ・中間成果物に含まれる個人データの保存期間と削除手段[A5]原則7

基盤の堅牢性・運用

  1. 09認証基盤(IdP)未設定時のデフォルト挙動。接続設定に外部URLを指定できる箇所からシークレットが外部へ送られないか。SSRF対策[C6]第6.1節
  2. 10プロンプトテンプレート・式・ワークフロー定義のサンドボックスの実績(過去の脱出脆弱性と修正)[C7][C8]第6.1節
  3. 11管理画面・内部API・BIツールの公開範囲。脆弱性診断の実施頻度と実施者[A2]第6.3節
  4. 12依存関係の一覧(SBOM)と、アドバイザリ検知から修正適用までの目標時間[C5]第7.1節

委託・停止・管理機能

  1. 13再委託先(クラウド、LLM API提供者、監視等)の一覧。インシデント時の報告義務・期限[A1][A5]原則8
  2. 14認証・監査報告の取得状況(ISMS、ISMAP、SOC 2のType、ISO/IEC 42001)原則8
  3. 15即時停止(kill switch)の手段と、停止後の認証情報一括失効第7.4節
  4. 16利用組織の管理者が使える機能:利用者の一覧と利用停止、利用可能なモデル・機能の設定、利用状況・費用の把握[A14]源内基準
  5. 17可視性と移植性:取得できるログの範囲、権限体系の詳細、基盤モデルの選択可否、作成したスキル・データ・設定を他基盤へ移せるか[A14]源内基準
  6. 18エージェントが上書き・削除できる対象の範囲(利用者がアップロードした原本を改変できないか)、アップロードファイルのスキャンと実行ファイルの自動実行禁止[A14]源内基準

2.自社点検チェックリスト — 導入前・導入時・運用の21項目

右端の番号は、手順を解説した節(または原則)です。すべてに「はい」と答えられることを目標に、答えられない項目から対応を決めます。

導入前(第4回)

  • 対象業務ごとにL(自律性)・E(行動範囲)を判定した。E3は分割を検討した。高リスク業務を判定し、承認・検証・記録を強化した第5.1節
  • 高自由度の環境(コマンド実行・任意サイトアクセス)は利用者の能力要件を定め、管理者が個別に許可する運用にした第5.1節
  • 自社の情報区分ごとに、エージェントへ入力・参照させてよいかを定め、周知した原則7
  • 接続先・情報資産・API(内部・管理用を含む)を棚卸しした第5.2節
  • エージェントごとにIDを発行し、接続先・ツールごとに最小権限を定めた第5.3節
  • 認証情報は資格情報管理で保管し、設定ファイル・環境変数・プロンプト・リポジトリ・配布物に書いていない第5.4節
  • 長期APIキーは例外として一覧化し、期限・ローテーション・失効手順を定めた第5.4節
  • ツール・MCPサーバー・スキルのバージョンを固定した許可リストを定めた第5.5節
  • egress許可リストを定め、DNS・リソース読み込み・外向きアクションを含めた第5.6節
  • 承認が必要な操作を定め、基盤側で強制する設定にした第5.7節
  • ログの記録単位・項目・保管場所・保持期間・利用組織の参照手段を定めた第5.8節
  • 会話履歴・メモリ・ログ・中間成果物の保存期間と削除手順を定めた第5.9節
  • ベンダー質問票の回答を得た。委託契約に報告義務・削除・再委託の条項を入れた第5.10節

導入時(第5回)

  • IdP未設定時の挙動、外部URL設定からのシークレット送出、SSRF、サンドボックス脱出を確認した第6.1節
  • 権限・注入・承認・egress・ログ・停止のテストを実施し、結果を記録した第6.2節
  • 業務上必要のない管理画面・内部API・BIツールをインターネットに公開していない第6.3節

運用(第5回)

  • SBOMを維持し、アドバイザリ検知後の適用期限を定めて運用している第7.1節
  • ツール呼び出しログを定期的に分析している。大量・高速実行、新規接続先、承認急増を検知対象にしている第7.2節
  • エージェント・ID・接続先・ツール・認証情報・保持データを定期的に棚卸しし、不要なものは削除するか失効させている第7.3節
  • 部門・個人が導入したエージェントを把握している第7.3節
  • 即時停止、認証情報一括失効、ログ保全、影響範囲特定の手順を定め、訓練している第7.4節

全21項目

Summary

この記事の要点

  1. 1SaaS/PaaS型のAIエージェントは、ID・認証情報、ツール・承認・通信、ログ・データ、基盤の堅牢性・運用、委託・停止・管理機能の5分野18問でベンダーに確認する。
  2. 2承認がプロンプトでなく基盤で強制されるか、外向き通信の制限がDNS・画像読み込み・メッセージ送信まで及ぶか、監査ログを利用組織が自分で参照できるかは、とくに確認が必要な点。
  3. 3自社では、導入前13項目・導入時3項目・運用5項目の計21項目で点検し、答えられない項目から対応を決める。
  4. 4質問票の各項目は、自社で構築する場合に自社で答えられるべき設計事項でもある。

FAQ

よくある質問

使っていただいて構いません。PDF版には回答の記入欄があり、そのまま送付・記入に使えます。回答が「対応していない」「未定」だった項目は、契約での取り決めや、自社側での補完策(ゲートウェイでの制御、ログの別取得など)を検討します。

役に立ちます。質問票の各項目は、自社で構築する場合に自社で答えられるべき設計事項でもあります。とくに基盤の堅牢性(6.1)、SBOMと修正適用の目標時間(7.1)、kill switch(7.4)、管理者が使える機能は、自社構築では見落とされやすい項目です。

導入前・導入時の項目は導入の判断の前に、運用の項目は定期的に点検します。頻度は自組織の要件で決めますが、新しい接続先・ツールの追加、基盤のバージョンアップ、組織変更のときにも見直します(本ガイドの提案)。

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