サイバー攻撃の基礎とAI — 第5回
入られる前提で守る
端末・メール・SaaS・データ・バックアップ・ログを、手順と11枚の図で。
この回の結論:入口をどれだけ塞いでも、入られることはある。そのとき被害を小さくし、戻れるようにするのがこの回の対策。鍵は、攻撃者の手が届かないものを持つこと。止められない端末の防御、消されないバックアップ、消されないログ。
第4回では、入口を減らし、残した入口を固める対策を扱いました。それでも、フィッシングや未知の脆弱性で入られることはあります。この回は第4回で示した前提の3つ目、入られる前提で、被害を限定し、戻れるようにする対策です。
第4回と同じく、各節は「目的」「なぜ必要か」「やること」「確認方法」の順で書いています。各節の対策は、国際的な対策の枠組みであるCIS Controls v8.1の該当項目(端末:4・10、メール:9、SaaS:3・6・15、データ:3、バックアップ:11、ログ:8)にも対応しています[G13]。
数値の基準日:2026年10月27日
統計は基準日時点の最新版です。事実・数値には [ ] で出典番号を付け、記事末尾に原文へのリンクを載せています。原文で裏付けられない推奨は「本ガイドの提案」と明記しています。
72.5%
バックアップから復元できなかった被害組織(2026年上半期、29/40件)
14日
侵入から発覚までの世界中央値(M-Trends 2026)
52%
自組織で侵入を検知できた割合(同)
3つ
なりすまし対策でDNSに登録する設定(SPF・DKIM・DMARC)
1.入られた後に、攻撃者がやること
第1回で見たとおり、攻撃者は侵入した後、管理者権限を奪い、セキュリティソフトを止め、社内に広がり、バックアップを壊し、データを盗んでから暗号化します。この回の6つの対策は、それぞれの段階に対応しています。
2.端末(PC・サーバー)
目的:マルウェアの実行を防ぎ、実行された場合に検知して止める。端末の設定を安全な状態で揃える。
なぜ必要か
- 攻撃者は侵入後、セキュリティソフトを止め、ログを消し、管理者権限を奪って広がります(第1回)。
- IPAの中小企業向けガイドラインにある「情報セキュリティ6か条」は、「ウイルス対策ソフトを導入しよう」を挙げています[J6]。
やること
- マルウェア対策:すべての端末にマルウェア対策を入れ、定義を自動更新します。可能ならEDR(端末上の不審な振る舞いを記録・検知し、遠隔で隔離できる製品)を使います。Windowsには標準でMicrosoft Defenderが含まれます。
- 改ざん防止:マルウェア対策・EDRの設定を、端末の利用者や攻撃者が無効化できないようにします(製品の改ざん防止機能を有効にする)。
- ローカル管理者権限を外す:利用者を一般権限にします。ソフトウェアのインストールは管理者が行います。
- 安全な初期設定:不要なサービスを止める、画面ロックを設定する、ディスクを暗号化する(Windows BitLocker、macOS FileVault)、マクロの実行を制限する。
- 端末管理:端末管理ツール(Microsoft Intune等のMDM)で、上記の設定と更新状況を一元的に確認できるようにします。
SCS評価制度★3が求めること[J7b]
- ★3 4-4-5ネットワークに接続するすべてのPCとサーバーにマルウェア対策ソフトを導入する。PC・サーバーごとにスキャンの範囲と頻度を定めて実行し、パターンファイルをベンダーの推奨に従って更新する。
- ★3 4-4-1PC・サーバー・スマートデバイスで、利用を許可していないソフトウェアをすべて削除・無効化するか、許可したもの以外を自由にインストールできないようにする。外部記録媒体の自動実行(auto-run)・自動再生(auto-play)を無効にする。サーバーとネットワーク機器の設定変更を申請・承認制にする。
- ★3 4-1-4PCのログオンとスマートデバイスのロック解除に、失敗回数に応じた制限(試行間隔の延長、または10回以上の失敗でロック)をかけ、6文字以上のパスワードまたはPINを使う。
評価基準の要約です。自己評価は原文で行ってください。★3の全体像は第7回にまとめています。
確認方法
- マルウェア対策・EDRが全端末で稼働し、定義が最新である(管理画面で確認)
- ローカル管理者権限を持つ一般利用者が0人
- ディスク暗号化が全PCで有効
- 許可ソフトウェアの一覧があり、それ以外のソフトウェアが端末にない(または利用者がインストールできない)
- 外部記録媒体の自動実行・自動再生が無効
- サーバー・ネットワーク機器の設定変更が、申請・承認の記録と一致する
3.メール
目的:自社ドメインを名乗るなりすましメールを、受信側で拒否させる。自社に届く悪性メールを減らす。
なぜ必要か
- フィッシングは侵害の16%で使われ[G1]、ビジネスメール詐欺はIPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」の10位です[J5]。
- 大手のメールサービスは、送信者に認証を求めています。Gmailは2024年2月1日から、1日5,000通を超えて送る送信者に、SPFとDKIMの両方、DMARC(ポリシーはnoneでも可)、From:ドメインのアライメントを求めています[G19b]。Yahooも同様の要件を課しています[G19c]。
- 総務省は2025年9月1日、電気通信事業者の団体に、DMARCのポリシーを「隔離」「拒否」に設定するよう要請しました[J14]。経済産業省・警察庁・総務省は2023年2月1日、クレジットカード会社等に、メールを送信しないドメインも含めた全ドメインでのDMARC導入と、受信拒否ポリシーでの運用を要請しています[J14b]。
やること
- SPF:自社ドメインからメールを送ってよいサーバーを、DNSに登録します。外部サービス(メール配信、SaaSの通知など)から自社ドメインで送っている場合は、それも含めます。
- DKIM:送信メールに電子署名を付ける設定をメールサービスの管理画面で有効にし、公開鍵をDNSに登録します。
- DMARC:SPF・DKIMの結果に基づき、受信側にどう扱ってほしいか(none=何もしない/quarantine=隔離/reject=拒否)と、集計レポートの送付先をDNSに登録します。段階的に強め、p=noneのまま止めません(図4)。
- 受信側の対策:メールサービスの迷惑メール・マルウェアフィルタ、添付ファイルの検査、外部からのメールであることの表示を有効にします。
確認方法
- 自社の全ドメイン(送信しないものも含む)に、SPFとDMARCのDNSレコードがある
- DMARCのポリシーがquarantineまたはreject
- DMARCの集計レポートを定期的に確認し、認証に失敗している正規の送信元がない
メール認証は、SCS評価制度★3の評価基準には含まれていません。このガイドは、行政の要請と大手メールサービスの送信者要件を理由に、★3を超えて推奨しています(第7回6節)。
4.クラウドサービス・SaaS
目的:クラウドの設定ミスと、連携のためのトークン・APIキーからの漏えいを防ぐ。
なぜ必要か
- IPAの「情報セキュリティ6か条」の4番目は「共有設定を見直そう」です[J6]。
- 2026年9〜10月の国内の事案では、アプリを解析してAPIのキーを特定する、他所で盗んだAPIキーを使う、といった手口が確認されました。JPCERT/CCは「APIトークンには適切な有効期限を設定し、長期間有効なトークンの使用を避ける」ことなどを求めています[J9]。
- 海外では、SaaSそのものではなく、利用企業側の認証情報や連携トークンが盗まれて大量のデータが持ち出された事例が公表されています。2025年には、連携アプリ(Salesloft Drift)のOAuthトークンが悪用され、多数の組織のSalesforceからデータが持ち出されました[G26]。2024年には、Snowflakeの利用企業約165組織が、インフォスティーラー(情報窃取型マルウェア)で盗まれた認証情報で、MFAのないアカウントにアクセスされました[G26b]。
やること
- 管理者:クラウドの管理者アカウントは、第4回のとおりMFAを必須にし、日常業務用と分けます。
- 共有設定:ファイル共有サービスで「リンクを知っている全員」への共有を原則禁止にし、既存の外部共有を定期的に棚卸しします。
- 連携アプリ:SaaSに接続している外部アプリ(OAuth連携)を一覧化し、使っていないもの・権限が過大なものを削除します。利用者が勝手に連携を許可できないよう、管理者の承認制にします(本ガイドの提案)。
- APIキー・トークン:有効期限を設定し、長期間有効なものを避け、最小の権限にします。ソースコード・設定ファイル・アプリに埋め込みません。漏えいが疑われたら直ちに無効化します[J9]。
- ログ:クラウドサービスの監査ログ(サインイン、管理操作、ファイルの大量ダウンロード)を有効にし、保存期間を確認します(7節)。
- 利用前の確認★3 3-1-3:自社の機密情報を扱う外部サービスについて、利用する際のセキュリティ要件を定め、利用時にサービス内容が要件を満たすか確認します。提供事業者と機密情報の取扱いについて合意を取り交わします[J7b]。IPAの中小企業向けガイドライン第4.0版の付録「クラウドサービス安全利用の手引き」が使えます[J6]。
確認方法
- 外部共有中のファイル・フォルダの一覧を取得し、不要なものがない
- OAuth連携アプリの一覧があり、各アプリに業務上の責任者がいる
- 期限のないAPIキーが一覧化され、解消の期限がある
- 機密情報を扱う外部サービスごとに、要件の確認記録と、機密情報の取扱いの合意(利用規約・契約など)がある
5.データ保護
目的:盗まれても使えない形で保存し、そもそも不要なデータを持たない。
なぜ必要か
- 流出の被害の大きさは「何を持っていたか」で決まります。タイムズカーの事案では、退会者等の本人確認書類の画像も対象になりました[J19]。個人情報保護委員会は、保管している個人データの必要性を、法令等の根拠とともに確認するよう注意喚起しています[J11b]。
- KDDIの事案では、約762万名分のパスワードが平文で保存されていました[J12]。
- 国家サイバー統括室は「保存データを暗号化する」「パスワードや認証情報を平文で保存しない」「利用目的を終えた情報は速やかに削除する」ことを求めています[J8]。個人情報保護法第22条は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去する努力義務を定めています[J11]。
やること
最初に機密区分を決めます★3 3-1-4。自社の情報について、機密の特定、機密区分のレベルの判定と表示、区分に応じた取扱方法、取扱エリアの区分と制限を含む管理ルールを定め、年1回以上内容を点検します[J7b]。以下の1〜4は、この区分に応じて適用します。生成AIに入力してよい情報の区分(第6回)も、この機密区分に合わせます(本ガイドの提案)。
- 持たない:第4回で作ったデータ台帳で、データごとに保存期間を決めます。法令・契約上の保存期間を過ぎたもの、利用目的を終えたものを削除します[J8]。本人確認書類の画像のように漏えいしたときの影響が大きいものは、確認した後に保持しない設計を優先します(本ガイドの提案)。
- 暗号化する:PC・スマートフォンのディスク暗号化(2節)、サーバー・クラウドストレージ・データベースの保存時暗号化、通信の暗号化(HTTPS)。
- パスワードはハッシュ化して保存する:自社で利用者のパスワードを保存するシステムを持つ場合、平文や元に戻せる暗号化ではなく、パスワード保存用のハッシュ関数で保存します(図7)[G20]。委託開発やパッケージの場合は、この点を委託先・ベンダーに確認します。
- アクセスを絞る:個人情報・機密情報にアクセスできる人・システムを最小にし、大量の閲覧・ダウンロードを記録します(7節)。
確認方法
- データ台帳の各データに保存期間があり、期限切れデータの削除が記録されている
- 利用者のパスワードを保存している全システムについて、保存方式(ハッシュ関数名)を確認した
- 機密データの保存場所で、保存時暗号化が有効
- 機密区分の管理ルールがあり、直近1年以内に点検されている
6.バックアップと復旧
目的:ランサムウェアや誤操作でデータが失われても、決めた時間内に業務を戻せるようにする。
なぜ必要か
- 警察庁の統計では、2026年上半期、ランサムウェア被害を受けた組織のうちバックアップを取得していたのは44/50件でしたが、バックアップから復元できなかった組織は72.5%(29/40件)でした。2025年は79.8%(79/99件)です[J1]。警察庁は「バックアップデータも暗号化されてしまう事例が多数確認」されているとしています[J4]。
- 攻撃者は、復旧できないようにバックアップを狙って破壊します(第1回の⑥)。
- IPAは中小企業向けガイドライン第4.0版で、従来の5か条に「バックアップを取ろう!」を加えて6か条にしました[J6]。
やること
- 何を、どれだけ戻すかを決める:業務ごとに、どの時点まで戻せればよいか(失ってよいデータの量)と、何日以内に戻すか(止めてよい時間)を決めます(本ガイドの提案。図10)。
- 攻撃者の手が届かない場所に置く:米CISAは「Maintain offline, encrypted backups of critical data」としています[G16]。警察庁は、バックアップをなるべくこまめに取得し、ネットワークから切り離してオフラインで保存するよう求めています[J4]。業務ネットワークと同じ認証情報で消せる場所(同じドメインの管理者で操作できるNASなど)だけに置くのは不十分です。オフライン媒体、または削除・上書きができない(イミュータブルな)保存先を少なくとも1つ持ちます。CISAはクラウドのイミュータブルストレージを選択肢として挙げています[G16]。バックアップの管理画面は、業務用とは別のアカウントにしてMFAを付けます(本ガイドの提案)。
- システムの再構築手段を残す:CISAは、重要なシステムの構築済みの標準イメージ(golden images)を維持するよう挙げています[G16]。設定情報・構築手順もバックアップの対象に含めます。
- 戻せることを確かめる:CISAは「Test backup procedures on a regular basis」としています[G16]。警察庁も訓練で復旧手順を確認するよう求めています[J4]。少なくとも年1回、実際に別の環境へ復元し、かかった時間を記録します(頻度は本ガイドの提案)。
SCS評価制度★3が求めること[J7b]
- ★3 4-3-4取得対象、取得頻度、保管期間を定めてバックアップを取得する。重要な機密情報は、それに加えて遠隔地バックアップを行う。バックアップ対象ごとにリストア手順書を整備する。
- ★3 7-1-1事業継続上重要なシステムについて、サイバー攻撃を念頭に業務の目標復旧レベルを定め、そこまで業務を回復するための対策を整備する。例として、システムによる業務継続(予備機やクラウド環境などの待機系)と、人手による業務継続(電話・FAXなどでの連絡・業務に備え、影響のある取引先の連絡先と複数の連絡手段を整備する)が挙げられている。
★3は「オフライン」「イミュータブル」を明記していません。この節の推奨(攻撃者の手が届かない場所への保管、復元テスト)は★3より強い対策ですが、復元できなかった組織が7割を超えていることから、★3の水準にとどめないことを勧めます(本ガイドの提案)。
評価基準の要約です。自己評価は原文で行ってください。★3の全体像は第7回にまとめています。
確認方法
- 重要データごとに、オフラインまたはイミュータブルなバックアップがあり、最終取得日が記録されている
- 業務ネットワークの管理者アカウントで、そのバックアップを削除できないことを確認した
- 直近の復元テストの日付・対象・所要時間の記録があり、決めた目標時間内に戻せた
- バックアップ対象ごとにリストア手順書がある。重要な機密情報は遠隔地にもバックアップがある
- 重要システムごとに目標復旧レベルと、待機系または人手による業務継続の手段が決まっている
7.ログ・監視・検知
目的:侵入や不正を早く見つけ、起きたことを後から調べられるようにする。
なぜ必要か
- Mandiantの調査(M-Trends 2026)では、侵入から発覚までの世界中央値は14日で、自組織で検知できたのは52%でした[G2]。
- アスクルの事例では当時のログが削除されており、原因の完全な究明が困難とされました[J17]。半田病院では、インシデント後のファームウェア更新でログの調査ができなくなりました[J16]。
- 国家サイバー統括室は、ログの取得・保管と大量アクセスの監視を求めています[J8]。個人情報保護委員会のガイドラインは、手法の例として「ログ等の定期的な分析により、不正アクセス等を検知する」を挙げています[J11]。
やること
- 取るログを決める(本ガイドの提案):①認証(サインインの成功・失敗、MFA)、②VPN・リモート接続、③管理者の操作、④ファイアウォール・プロキシ、⑤EDR・マルウェア対策のアラート、⑥クラウドサービスの監査ログ、⑦個人情報を扱うシステムのアクセスログ。
- 攻撃者に消されない場所に集める:端末・機器の中だけに置かず、別の場所(ログ管理サービス、SIEMなど)に送ります。
- 保存期間を決める:侵入の発覚が遅れることを前提に、調査に必要な期間を確保します(期間は自組織の要件で決める)。クラウドサービスはライセンスによって保存期間が短いことがあるので確認します。
- 見るべき兆候を決めて、自動で通知する(本ガイドの提案):海外からの管理者サインイン、短時間の大量のサインイン失敗、MFAの登録変更、管理者権限の付与、EDRのアラート、深夜・休日の大量ダウンロード、バックアップの削除操作。
- インシデントのときは、ログを保全してから対応する:機器の更新・初期化の前に、ログを取り出します(半田病院の教訓[J16])。
SCS評価制度★3が求めること[J7b]
- ★3 5-1-1社内外のネットワークの境界または端末で、インターネットから社内への通信と、社内から不正なサーバーへの通信の両方について、不正アクセスをリアルタイムに検知・遮断する仕組みを導入する。ネットワーク機器のログとアラートを分析し、不審な事象を見つけたときに、担当者・管理者がインシデントに当たるかを判断する。異常時にアラートが速やかに発報され、インシデントの速報レポートが作成・通知される仕組みにする。
SCS評価制度は特定のセキュリティ製品の導入を必須としていません[J7]。実現手段の例として、境界のファイアウォールの侵入防止機能や、端末のEDR(2節)が考えられます(本ガイドの提案)。
評価基準の要約です。自己評価は原文で行ってください。★3の全体像は第7回にまとめています。
確認方法
- ①〜⑦のログについて、取得されていること、別の場所に保存されていること、保存期間を確認した
- 通知の設定をテストし、担当者に届いた
- 直近の四半期に、ログを定期的に確認した記録がある
- 境界または端末で、内向き・外向き両方の不正通信を検知・遮断する仕組みが稼働している
ここまでで、平時の備えは揃う
入口を塞ぎ(第4回)、入られても被害を限定し戻れるようにする(第5回)。最後に必要なのは、起きたときに迷わず動ける手順と、委託先・人・ルールの管理です。これを第6回で扱います。
Summary
この記事の要点
- 1入口を塞いでも入られることはある。被害を限定し、戻れるようにする対策を、攻撃者が侵入後にやることに合わせて置く。
- 2端末はEDRと改ざん防止で「止められない防御」にし、利用者からローカル管理者権限を外す。設定はMDMで全台まとめて確認する。
- 3メールはSPF・DKIM・DMARCを登録し、DMARCはnone→quarantine→rejectと強める。noneのまま止めない。送信しないドメインは最初からreject。
- 4SaaSは共有リンク・OAuth連携アプリ・APIキーを棚卸しし、不要なものを消す。APIキーには期限と最小権限を付け、コードに埋め込まない。
- 5データは持たない・暗号化する・パスワードはハッシュ化する・アクセスを絞る。被害の大きさは「何を持っていたか」で決まる。
- 6バックアップは、業務の認証情報では消せない場所に少なくとも1つ置き、年1回以上、実際に復元して時間を測る。
- 7ログは攻撃者に消されない別の場所に集め、兆候を自動で通知する。インシデントのときはログを保全してから機器を触る。
Sources
出典
本文の事実・数値は、以下の官公庁・公的機関・標準化団体・ベンダー公式の原文に基づいています。数値は各出典の公開時点、または2026年10月27日の集計時点のものです。
- [J1]警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」(2026年9月)
- [J4]警察庁「ランサムウェア被害防止対策」
- [J5]IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」(2026-01-29)
- [J6]IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版(2026-03-27)
- [J7]経済産業省・国家サイバー統括室「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度に関する制度構築方針」(2026-03-27)
- [J7b]IPA SCS評価制度「★3・★4 要求事項・評価基準」(2026-03-27版)
- [J8]国家サイバー統括室「不正アクセスによる漏えい等の事案を踏まえた対応について」(2026-10-09)
- [J9]JPCERT/CC 注意喚起 JPCERT-AT-2026-0030(2026-10-08公開、10-23更新)
- [J11]個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(2026年6月改正)
- [J11b]個人情報保護委員会 注意喚起(2026-10-07)
- [J12]個人情報保護委員会「KDDIのメールサービスに係る事案について」(2026-08-19)
- [J14]総務省「フィッシングメール対策の強化に関する要請」(2025-09-01)
- [J14b]経済産業省・警察庁・総務省 クレジットカード会社等へのDMARC導入の要請(2023-02-01)
- [J16]つるぎ町立半田病院 コンピュータウイルス感染事案 有識者会議調査報告書(2022-06-07)
- [J17]アスクル「ランサムウェア攻撃の影響調査結果および安全性強化に向けた取り組みのご報告(第13報)」(2025-12-12)
- [J19]タイムズモビリティ「不正アクセスに関するお知らせ(第5報)」(2026-10-23)
- [G1]Verizon「2026 Data Breach Investigations Report」
- [G2]Mandiant「M-Trends 2026」(2026-03-23)
- [G13]CIS「Critical Security Controls v8.1」
- [G16]CISA「#StopRansomware Guide」(2023年9月版)
- [G19b]Google「メール送信者のガイドライン」
- [G19c]Yahoo「Sender Best Practices」
- [G20]OWASP「Password Storage Cheat Sheet」
- [G26]Google Threat Intelligence Group「Widespread Data Theft Targeting Salesforce Instances via Salesloft Drift」(2025-08)
- [G26b]Mandiant「UNC5537 Targets Snowflake Customer Instances」(2024-06)
FAQ
よくある質問
ウイルス対策ソフトは、主に既知の不正なプログラムを見つけて止めます。EDRは、端末上の不審な振る舞いを記録・検知し、遠隔で端末を隔離できる製品です。攻撃者は侵入後にセキュリティソフトを止めようとするため、どちらを使う場合も、利用者や攻撃者が設定を無効化できないよう改ざん防止機能を有効にします。
メールを送っているドメインでは勧めません。配信サービスやSaaSの通知など、自社ドメインで送っている正規の送信元がSPF・DKIMに含まれていないと、正規のメールまで拒否されるためです。まずp=noneで集計レポートを受け取り、正規の送信元をすべて含めてから、p=quarantine、p=rejectと進めます(本ガイドの提案)。ただし、p=noneのまま止めないことが重要です。メールを送信しないドメインは、最初からp=rejectで登録します。
置き場所より「業務の認証情報で消せるかどうか」が重要です。業務ネットワークと同じ管理者アカウントで削除できる場所は、攻撃者が管理者権限を奪えば一緒に消されます。オフライン媒体か、一定期間は削除・上書きができないイミュータブルな保存先を少なくとも1つ持ち、バックアップの管理画面は業務とは別のアカウントとMFAで守ります。米CISAはクラウドのイミュータブルストレージを選択肢として挙げています。
一律の正解はなく、自組織の要件で決めます。決めるときの前提は、侵入の発覚が遅れることです。Mandiantの調査(M-Trends 2026)では侵入から発覚までの世界中央値は14日で、中央値より長くかかる事案も多くあります。調査に必要な期間をさかのぼれるようにし、クラウドサービスはライセンスによって保存期間が短いことがあるので確認します。
必要です。委託開発のシステムやパッケージ製品で、利用者のパスワードを保存しているものがあれば、保存方式を委託先・ベンダーに確認します。平文や元に戻せる暗号化で保存されていると、データベースが盗まれたときにパスワードがそのまま使われます。OWASPはArgon2id、scrypt、bcrypt(既存システム向け)、PBKDF2(FIPS-140準拠が必要な場合)の順に推奨しています。
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